会食恐怖症を知っていますか?
知らない方にとっては馴染みのない言葉だと思います。
「会食恐怖症ってなに?」
「会食の何が怖いの?」
様々な疑問があるかと思います。
私は会食恐怖症の当事者としてもっと世の中に知ってもらいたいと思い
かなり個人的な経験談ではありますが、みなさんにお伝えしたいと思います。
会食恐怖症とは
会食恐怖症とは、誰かと一緒に食事をすることや外で外食をすることに対して
強い不安感や緊張感を抱く症状です。
強い不安感や緊張感によって、人との会食を避けたり、外食を避けるなどで
社会生活、日常生活にも支障が出てしまう状態のことです。
どんな症状?
人により様々な症状が出ます。
私の場合は、主な症状は吐き気です。
食べると吐いてしまうのでは?と不安と緊張でいっぱいになります。
外食はもちろんのこと、人と一緒にいると、吐き気がして気持ちが悪くなり、
食べ物を口に運ぶことも難しい時があります。
口に入れたら入れたで気持ちが悪くなり飲み込めない、なんてこともあります。
これは人によるのかもしれませんが、
私の場合は吐き気はとても強いのですが、実際に吐いてしまうことはほとんど無く、
しかし、あらゆる場面で症状が出ます。
外食はもちろんなのですが、たとえ家であっても人がいると症状が出ます。
相手が家族であっても出ます。
会食の何が怖いのか?
これも人によるのかもしれませんが、
私の場合は、吐き気が怖いです。
吐いてしまうのではないか?気持ちが悪くなったらどうしよう?
という、嘔吐恐怖症に近いかもしれません。
他にも、食事を残してはいけないのではないか?
一緒に食べている人に気を使わせてしまうのではないか?
という罪悪感や心配もあります。
あとは、外食の場面で、店に入ったらすぐに逃げられない、
注文してしまったらそこに留まらなければならないという恐怖感もあります。
きっかけはあったのか?
これもひとによるのですが、
私の場合は、きっかけはわかりません。
というのも、物心ついた時(3歳)から会食恐怖症だったので
何がきっかけだったのか定かではないのです。
ただ、保育園の給食がまったく食べられず
いつも保育士に怒られていたという記憶があります。
個人的に思う原因
これは想像でしかないのですが、
日本は食糧難だった戦後を経て今のような飽食の時代になっています。
私は1980年代うまれましたが、その時の大人たち、特に親や教師は
「食べられるだけでありがたい」「残すなんてバチがあたる」
という、食への感謝、食事に対してのモラルやマナーに
厳しい時代を生きてきた人たちが多かったのだと思います。
そういった日本特有の文化の中で、
さらに、私の家は食堂を営んでおり、まさに外食産業そのものでした。
親は「出された食事は残さず食べるもの」「たくさん食べることが正義」という人たちでした。
そういうプレッシャーの中で育ったという背景があります。
個人的に思う日本特有の文化
私の両親がいつも話す言葉がありました。
「お客さんに安い値段で腹いっぱい食べてほしい」
とてもりっぱな志ですし、外食産業の方ならばお客様に喜んでほしいという
当たり前に持っている願いでもあり、素晴らしい事だと思います。
素晴らしいことなのですが、会食恐怖症の自分にとっては辛い言葉です。
私の両親は戦後まもなく生まれ、食べ物が十分に無い時代、
それこそ、給食の脱脂粉乳とコッペパンがごちそうだったという時代を生きてきて
美味しいものを腹いっぱい食べられるということにものすごい憧れと執着があります。
私が個人的に思うには、これはその当時の日本人(大人たち)の
スタンダードだったのかもしれません。
時代は変わり、食べ物に困るということはほとんど無くなっていても
その当時の大人たちの価値観やマインドは変わっていなかったと思います。
文化と会食恐怖症
日本特有の文化(価値観やマインド)が残った状態の世界では
食事を残すことなどあり得ないし、許されない事だったのだと思います。
当然、吐き気がして食べられないなんて言っても理解されませんでした。
自分を取り巻く世界も大人たちもそういう状態なので
症状はどんどん悪化していきました。
そういった時代背景と日本固有とも言える文化(価値観やマインド)によって
生まれたのが「会食恐怖症」だと私は思っています。
理解されない苦しみ
一度、給食がどうしても食べられずに苦しんでいた私に、両親から言われた言葉があります。
「私たちへの当てつけか」
これは、「外食産業を営んでいる自分たちへの反抗なのか?」という意味と私は想像しました。
この時の親の気持ちは私にはわかりませんし、どんな思いで言ったのかはわかりませんが、
ですが、考えてみて欲しいことがあります。
誰が好き好んでどう考えても自分だけが不利な状態になるのを
わざわざ反抗や当てつけのためだけにすると思いますか?
仮に1万歩譲ってハンガーストライキだとして、何のための?どんな理由があって?
自分に不利なことしかないことをするんでしょうか?
考えればわかることと思いますが、わざわざそんなことする人いませんよね。
親ですらそのような状態でしたから
そのくらい当時は、この会食恐怖症というのは理解を得るのが難しかったのです。
まとめ
会食恐怖症は私の個人的な経験からの考えとしては、
その個人の特有のものというだけでなく、
社会全体の文化や風習、時代背景、人々の価値観、マインド、
あらゆる要因が重なって起こる現象だと私は思っています。
ただ、今は変わりつつあるのかなとも思っています。
私は小学生の子供を育てていて、子供に聞く限りでは、
現在の給食は完食の強要などは無くなっているようで、
世の中の動きとしても食事への道徳観など時代の変化を感じています。
時代の流れが少しでも良くなり、
この会食恐怖症というものを広く世間に知ってもらい
みんなが生きやすい世の中になってもらいたいですし、
そもそも会食恐怖症を生み出さないような寛容な社会になって欲しいと思います。
「吐くのがこわい」がなくなる本
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