私は商業系の短期大学を卒業しています。
もう20年以上前の話ですが、
その時のある教授の言葉をときどき思い出します。
その教授の講義を初めて受けた時のことです。
ドアを開けて入ってきて、机に座っている私たち生徒を見て
盛大にため息をつくと、
「君たち、こんなとこで何してるの?
単位のためだかわからないけど、
こんなもの受けても何にもならないよ、
ボクはほんと君たちが不憫でならないよ、
単位はあげるから次から来なくていいからね」
と、言うのです。
みんなザワザワとしていました。
「まぁ、ボクも仕事だから今日は講義するけど、
ほんと次から来なくて大丈夫だから、
若いんだからもっと有意義なことに時間を使いなさい」と言うと、
講義を始めました。
しかし、あっという間に授業を終えると、またため息をついて、
「本当に君たちがかわいそう、
こんな学校でこんな講義を受けても
世の中に出て何の役にも立たないよ」
と言うと、じゃあねと言って
時間よりも早く帰っていったのです。
周りの生徒たちはラッキーと口々に言っていました。
そんな感じだったのですが、
次の講義も念のため受けようと行ってみました。
教授が単位をあげると言ったせいか私を含めて6人しかいませんでした。
しかし、時間きっかりにその教授は教室へ入ってきて、
「まだいたの?!来なくていいって言ったのに!」と盛大にため息をつきました。
「もの好きだねぇ~、まぁ仕事だから講義するけど
ボクは君たちがかわいそうでならないよ」
と言って授業を始めました。
そんなことを毎回言いながら時間きっかりにやってくる教授と、
最終的には3人に減った生徒で講義を続けたのです。
そして、最後の授業では、
「よく最後まで出てたよね~ほんと君たちもの好きだね~
こんな何の役にも立たない授業を受けて、
こんな何の箔も付かない学校を出て、
将来が心配ですよ、
せっかくの若い時間をこんなものに費やして、
まぁ、でも、君たちの幸せを願ってますよ」
と言って教室を出ていきました。
あれから20年以上経っていますが、
ほんとうに役にたってません。
教授の言う通りでした。
短期大学を卒業しても今では何の肩書きにもなりません。
(学歴を否定しているのではなく自分にとってはです)
でも、親から無理やり入れられて
何にも良い事がなかった大学の思い出の中で
この教授の授業が一番の記憶として残っているのです。
どうしてなのかわかりませんが、
たしかになんの役にもたってないけど、
何の役にも立たないことを教えてくれていたからでしょうか。
役に立たないことは悪ではないですが、
役に立たないことを知る事が大事です。
知ったうえでやるのならそれはそれですからね。
(否定ではなく、学んだことは無駄にはならないと思ってます)
私は親に無理やりやらされたうえに役に立ちませんでした。
しかも役に立たないことを社会に出てから知ったのです。
もっと早く知りたかったし、
親の言うことをまともに受け取って自分の意志ではなく
決めてしまったことも原因だと思いました。
なんでもそうですが、
誰かに言われたり、社会の風潮に合わせたりではなく、
自分の意志が大事です。
うまくまとめられませんが
よかったら悪い教訓として何かに役立ててくれたら幸いです。
そんな話でした。
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