まずはじめに
発達障害の「仕事ができない」というのは、
当事者ではない人にとってはあまり想像がつかないのではないかと思います。
「普通できるでしょ」
「これくらい当たり前」
これらの言葉は発達障害がある身にはとても刺さります。
その普通や当たり前が出来ないので困っているのです。
むしろ、普通や当たり前なことほど出来ない
と言った方が合ってるかもしれません。
まったく普通では無いし当たり前ではないのです。
「大なり小なりみんなあるんじゃない?」
そういう意見もあると思うのですが、
そうは言っても大と小では程度がまったく違います。
そのあたりの「困り感」が伝わるといいなと思いました。
今までやってきた仕事
- 蕎麦屋
- 寿司屋
- 弁当屋
- 居酒屋
- スーパーのレジ打ち
- スーパーのお惣菜コーナー
- データ入力
- 事務
- etc.ほかにも色々やりましたが、2~3日でクビになってます。
仕事できなかったエピソード(個人的代表例)
寿司屋
私がバイトしたのは回らないお寿司屋さんでした。
お客様にお茶やおしぼりを出したり注文を聞いたり注文の品をお出しするような仕事で、
要するにファミレスでいうホール係のような感じです。職場の雰囲気は、
「仕事は見て覚えろ」「言わなくてもわかるだろ」というような感じで、
臨機応変な対応や空気を読む仕事が多く、そういったことが苦手なため
オロオロしていたら「使えないやつ」扱いになりクビになりました。
蕎麦屋
お客様から注文を聞いて厨房に伝え、突き出しなどをセッティングするのですが、
注文がうまく取れなかったり、セッティングも細かく決まっていてお盆の右に置くとか
ご飯は左とかあるので、それが覚えられないんですね。
また、お皿の種類がたくさんあってこの皿は天ぷら用とか決まっているのですが、
それも覚えられませんでした。
天ぷらを揚げる職人さんに違う皿を渡してしまい、
「それじゃねえ!てめぇ邪魔だ!あっちいってろ!」とめちゃくちゃに怒鳴られました。
お皿をしまう場所も覚えられなくてウロウロしていると邪魔だ!と
とにかく怒鳴られて本当に怖かったです。
結局3日ほどで厨房の担当の人から無視されるようになり辞めました。
弁当屋
まず、弁当の種類を覚えないといけないのと、注文が入ってから作るのですが、
揚げるもの、焼くもの、炒めるもの、温めるもの、を瞬時に判断して、
必要な分をフライヤーに入れたりしないといけないのですが、
この瞬時に判断が弁当1個だけならなんとかなるものの一度に5個とか、
全部バラバラの弁当とかになると頭が混乱して何かしら忘れてしまいます。
効率よく動けなくて、そのうちにシフトをわざと減らされていき辞めることになりました。
居酒屋
お客様が来たらお通しとおしぼりなどを出し、注文を取って調理場に伝え、
出来上がった料理を運ぶ仕事だったのですが、
これも臨機応変さや、忙しい時などは効率よく動かなくてはならず
それがうまくできずにいたら、同じホール係の人に嫌われてしまい
無視されるようなり辞めることになりました。
スーパーのレジ打ち
レジって結構やることが多いんですね。
ただ、レジを打つだけじゃなく、ポイントカードや駐車券など、
タバコの販売などもあり、レジ以外に店内放送やお土産品を包むなど
お客様のご要望をお聞きしたりだとかやることがいっぱいで、
あたふたしてしまい、その上、レジのミスなども多かったので、
結局辞めることになりました。
スーパーのお惣菜コーナー
簡単なお惣菜の調理と、パック詰め、
あとは、お米を炊く、材料を切るなどの準備だったのですが、
パック詰めした後の値札を付ける機械操作がなかなか覚えられず、
「こんな簡単なこともできないの?」と言われたり、
一度お米の水加減を間違えてしまい、
その日出すはずだった商品が出せなかったため、
「あなたのせいで今日の売り上げがこれだけ減りました」と
帳簿を見せられながら怒られました。
結局辞めることになりました。
データ入力
私がやったのは新聞社でのデータ入力でした。
飛んできたデータをネット上にあげる作業をするのですが、
シンプルに「遅い」と言われたり、
一緒に作業をする人たちの輪の中に入れず無視されるようになって
辞めることになりました。
事務
私が入った会社は事務員が全員女性の職場でした。
卸売業の事務作業だったのですが、
電話応対や来客の対応、伝票整理などをしていたのですが、
電話応対がうまくできず、来客の対応も満足にできず、
伝票のデータ入力もうまくできず、
しかも女性ばかりの職場なのに人とのコミュニケーションが苦手なため
輪の中に入っていけなかったため、
だんだんと陰口をされるようになりました。
ロッカールームで「服ダサっ!よくあんなので会社これるよね、社会人なのに」と
目の前で言われたりしました。
発達障害特有のものかわかりませんが、
私は服のセンスがなく常にパーカーにジーンズだったので
いまだにこの時の事を思い出してしまいトラウマになっています。
この会社も「明日から来なくていいから」と言われて一か月弱でクビになりました。
普通や当たり前ができないとは
誰しも最初は初心者なので出来ないこともあると思います。
1回や2回なら、1日2日なら、まぁそんなこともあるよねと言われるかもしれません。
しかし、それがどこに行っても、1か月経っても上達しなかったとしたらどう思いますか?
仕事ができないだけならまだしも、無視されたり、嫌がらせを受けたり、陰口をされたり、
それが毎回だとしたら、どこに行ってもそうだったとしたらどう思いますか?
「普通」「当たり前」「臨機応変」「空気を読む」
こういったことが出来ない事で仕事をあっという間に失います。
仕事を失えば収入を失います。
収入を失えば、この資本主義の世界では「死」です。
仕事ができないというのはそういうことです。
まとめ
あくまでも個人的な体験談なので、ひとによるかもしれませんが、
私の場合は、バイト初日に職場の人から
「じゃあとりあえず適当にこれやっといて」と渡される仕事が
ことごとくできませんでした。
職種によって色々ですが、おそらくその職種の基礎だったり、
お掃除や、基本的な準備作業だったりするのですが、
みんなが普通に当たり前にテキパキやってる横で、
適当ってどんな感じなの?どのくらいやればいいの?なにをどうやるの?と
なって困ってしまうのです。それでオロオロしていると、
職場の人の対応が明らかに「こいつ使えない」になるんですね。
基礎的なことができず「こいつ使えない」になると、
もう普通の業務は私には回ってきません。
自分ではわざとやっているわけでは無く一生懸命やっていてそうなるのです。
普通の業務は回ってこない上に職場の人の輪の中に入れず孤立していきます。
そして最後はクビです。
発達障害のこういう「困り感」や
仕事が出来ないということが収入を失うことに繋がる切実さが
少しでも伝わるといいなと思います。
自業自得とか自己責任とかで片付けられてしまうことは悲しいです。
ひとりひとり人間は違います。
どっちが劣っている優れているとかではないと思います。
もっと寛容で多様性のある社会になればいいなと思います。
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